最後の審判

第4話 ベル対セフィ(後編)
 
 

ベル『そんな・・・。セフィさんどうして無事なの・・・?』

 ベルは倒したはずのセフィが目の前に現れて動揺した。

?「たしかにワタシの名前はセフィネスだけどさっきの出来損ないと一緒にされちゃ困るわ」

ベル『どういうこと?』

プルーヌ「ワタシこそが正真正銘の1番目のべスティアリーダー、セフィネス・プルーヌ・サブロマリン」

ベル(プルーヌ?1番目?)

 それを聞き、余計に混乱するベル。
 ともかく目の前のセフィが先程のセフィとは別人であることは分かった。

プルーヌ「さっきあなたが倒したのは0番目の試作品。リガルード神がべスティアリーダーを造るための実験体の試作品でしかないのよ」

ベル『セフィさんが実験体だって言うの!』

プルーヌ「そうよ。ようするに出来損ないってことよ。だからワタシこそがホントに正真証明、最初のべスティアリーダーなのよ」

ベル『セフィさんは出来損ないなんかじゃない!』

 それを聞いたベルは激昂して言い返した。

プルーヌ「敵をかばうなんて変な奴ね?天使ってみんなそうなの?」

 そんなベルの態度にプルーヌは少し困惑気味に聞いてきた。

ベル『セフィさんは敵なんかじゃない』 

プルーヌ「じゃあ何?」

 今度はベルをからかう様に聞いてきた。

ベル『家族よ!』

プルーヌ「フフフッ、そう言うわりには最後はあっさりとどめをさしていたわね」

 くくくっ、とプルーヌは笑った。

ベル『くッ!』

 一番痛い所と突かれた悔しさでベルは唇を噛んだ。

プルーヌ「まぁいいわ。これ以上あの子の話なんて聞きたくも無いし・・・」

 プルーヌはそこで話を打ち切り、自らの獣機に向き直って乗りこむ。

プルーヌ『アクテュアルティータァ!我が心と融合せよ、我が心と一つになりて、汝のワザを命ずるままに行使せよ』

 アクテュアルティータァの目に光が点り、レオニスと対峙する。

ベル『あなたはセフィさんなんかじゃない!』

 ベルはアクテュアルティータァを睨みつけながら叫んだ。

プルーヌ『誉め言葉と受け取っておくわ』

 しかしプルーヌは軽くそれを流した。

ベル『くっ!』

バクン

 それを聞いて熱くなったベルはレオにスの肩から重力崩壊場安定機を露出させた。

ベル『みーーーっつ!!』

 そしてアクテュアルティータァに向けて鐘を打ち出した。
 しかしアクテュアルティータァはそれを易々とか躱して、ベルの視界から消える。

ベル『えっ!!』

 ベルはアクテュアルティータァを見失い慌てた。

プルーヌ『どこを見てるの?こっちよ』

 後ろからプルーヌの声がかかる。

ベル『!!』

 ベルは慌ててレオニスを振り向かせようとした。

プルーヌ『遅い!』

ガァン

 しかし振り向きざまを殴り飛ばされるレオニス。

ベル『きゃぁぁーー!』

どおぉぉん

 そして地面に叩きつけられた。

プルーヌ『こんなものでまいったなんて言わないわよね。立ちなさい!』

ベル『くっ』

 ベルはレオニスのダメージをチェックしつつを立ちあがらせる。

ベル(なんてスピードなの。あの距離からの鐘を躱して背後に回りこむなんて)

プルーヌ『ワタシのスピードに驚いているようね、フフフッ。
      ワタシの獣機は元々スピード重視の機体なんですもの、速さでワタシに勝てる者などいないわ。
      それに でもどうやらワタシと融合した人間はよっぽどべスティアに近かったみたいね。ますますスピードが上がったわ。
      今のワタシなら第3天使のアクエリュースや長のネガレイファントルにでも勝てそうよ。ハハハハハ・・・・』

 そう言ってプルーヌは高笑いをした。

ベル(なんとか姿を追えるようにしてまず相手の足を止めないと・・・)

 ベルはプルーヌの声を聞きながらも対策を練っていた。

プルーヌ『じゃあ次はもう少しだけ本気を出していくわよ』

 アクテュアルティータァの指に光が集まり鉤爪状になる。

プルーヌ『いくわよシャイニングクロー』

 再びベルの視界からアクテュアルティータァが消える。

ベル「レオニス!」

 ベルはレオニスの両手に重力崩壊場を発生させた。
 さらにレオニスのセンサーの感度と視神経へのリンク速度を最大にまで上げる。

ベル(左後方!)

 そうして何とか相手の姿を追えるだけの力を弾き出した。

ガキン

 ベルはレオニスを振り向かせアクテュアルティータァの爪を左手の重力崩壊場で受け止める。

プルーヌ『へぇーー』

 それを見たプルーヌは感嘆の声をあげた。

ブゥン

 そしてすかさず右手の重力崩壊場で薙ぎ払うが、その時にはすでにアクテュアルティータァは距離を取って躱していた。

ベル『逃がさない!』

 そのまま間合い空けさせないためにベルはアクテュアルティータァにレオニスを肉薄させる。
 しかしアクテュアルティータァはその動き合わせて右手を向けてきた。

バシュ

 そしてアクテュアルティーターの爪だけがレオニス目掛けて飛んでくる。

ベル『!!』

 咄嗟のことにベルは反応出来なかった。
 そのため爪はレオニスの体に突き刺さる。
 そしてその衝撃に片膝を折るレオニス。

プルーヌ『甘いわね。シャイニングクローは飛び道具としても使えるのよ』

 そして新たな爪を右手に宿し向かってくるアクテュアルティータァ。

ベル「立ってレオニス!」

 ベルはなんとかレオニスを立ちあがらせアクテュアルティータァを迎撃する。
 しかし傷ついたレオにスでは攻撃を受け止めるので精一杯で防戦一方になる。
 そして、
 
ドオォン

 ついにレオニスは体に爪の一撃を受け地面に吹き飛ばされ倒れ伏す。

ベル『っ!』

プルーヌ『とどめよ!』

 そこに両手をレオニスに向け爪を飛ばすアクテュアルティータァ。

ベル『待ってたわ、その攻撃!』

 しかしベルはその爪を重力崩壊場を扇型に広げ受け止めた。

プルーヌ『!』

 今のアクテュアルティータァは攻撃後で動きも止まって隙だらけだ。

ベル『よーーーっつ!!』

 その隙を狙って鐘を撃ち出すレオニス。

プルーヌ『ふん!』

 しかしそれすらもアクテュアルティータァは躱して見せた。

ベル『そんな・・・』

 まさかアレまで躱せるとは思っていなかった。

プルーヌ『今のは惜しかったわよ、結構やるのね。でもここまでかしら』

 アクテュアルティータァは新たな爪を指に宿しつつレオニスに近づいてくる。

ベル『くっ!(動きを止めるぐらいじゃだめだ!絶対かわせない距離で撃たないと・・・)』

 どうにかベルはレオニスを起きあがらせ迎撃体勢をとらせた。

プルーヌ『そろそろ覚悟はできた・・・。じゃあいくわよ』

 そして再びアクテュアルティータァの姿がベルの視界から消える。
 しかしベルにはもう目で追う程度の力しか残っていない。
 そしてレオニスを振返らした時にはすでにアクテュアルティータァの間合いの内だった。

プルーヌ『終わりよ第1天使!!』

ベル『!!!』

 アクテュアルティータァの爪がレオニスの胸に突き刺さる。

プルーヌ『このまま体をえぐってやるわ』

 プルーヌはアクテュアルティータァの腕に力をこめた。
 しかしレオニスはその腕をがっしりと掴んだ。

ベル『捕まえた』

プルーヌ『なに?』

ベル『この距離なら絶対はずさない』

プルーヌ『!!お前そのつもりでワザと!』

 プルーヌは自分がベルの策にはまった事を悟り、アクテュアルティータァをレオニスから離そうとした。

ベル『いつーーーっつ!!』

 しかしそれより先に鐘がアクテュアルティータァの身体を貫いた。
 そしてその衝撃でレオニスとアクテュアルティータァはお互いに弾き飛ばされる。

ドオォォン

 そしてお互いに地面に倒れ伏す。

プルーヌ『!!!』

 しかしアクテュアルティータァの方は鐘が当たった個所を中心に身体が歪み始める。

プルーヌ『くぅっ・・・そんな!!。くっ・・・。しかしお前のその神機を見なさい。そんな身体で後50体以上の獣機を倒せるものですか!』

 アクテュアルティータァの身体が限界まで縮む。

プルーヌ『やはり人類はベスティアなのよ!!』

ドォオオン

爆発
そして消滅

 そしてしばしの静寂が訪れる。
 たしかにレオニスの身体は傷だらけで満身創痍のように見える。
 しかし無情にもレオニスの前に3体目の獣機が舞い降りた。

ベル「負けられない」

 ベルはレオニスの中で呟いた。

ベル「マリアのためにも、ネオミックのためにも、セフィさんのためにも、みんなのためにも、あたしは負けられないの!!」

バクン

 レオニスは肩の重力崩壊場安定機を露出させた。

ベル『むーーーっつ!!』

 そしてベルは獣機めがけて鐘を撃ち鳴らした。
 

<つづく>






解説




セフィネス・プルーヌ・サブロマリン

セフィが何故0番目なのかを考えた時、0番は試作ナンバーではないかと思い、それなら完成体もいるはずだと思いついたのが彼女です。
名前の由来はセフィネスの名前の由来でもあるだろう「スパイラルクエスト」の「セフィ・プレーヌ」という名前の侍女をさらにもじったものです。
プルーヌがプルゥドを嫌う訳は、
プルゥドは試作ということもあり、出来は良くなく身体も丈夫ではなかったため、リガルード神にはわりと甘やかされて育ちました。
一方プルーヌは完成体であるためにリガルード神には厳しく育てられたのです。
(実際に実験体のように扱われたのはプルーヌの方なのですが、彼女はそう思ってはいなかったようです)
そして同じ顔なのにプルゥドの方がリガルード神により愛されたような育てられ方をしていたため、
何時しかプルーヌはプルゥドを憎む様になったのです。
 

アクテュアルティータァ

プルーヌの獣機でアンティータァとほぼ同じ姿です。性能はこちらが上ですが。
名前の由来はアンティータァのアンを否定のunととり、事実上のという意味のactualと置き換えただけです。
 

獣機の強さ

獣機の強さは基本的には番数の大きい方が強いのですが、融合した人類のベスティア度によって変わることにしています。
後、乗り手が乗っていない時も本来の力は出せないと思っています。
でなければラムの重力崩壊場の1撃をエルメスフェネックが簡単に受けるとは思えないからです。
 

扇状の重力崩壊場

重力崩壊場は重力崩壊場安定機によりある程度は形が変えられるとしています。
(重力崩壊場安定機がいるためベル自身やラムには出来ません)
そのため盾の様に使う事も可能ですし、長さも自由に調節できます。