ラム『貴也・・・‘聖母’になれる‘Lalka’は、リアだけじゃないよ・・・。
もし、貴也が・・・選べるとしたら、誰にする?』
貴也(クレアさんかな・・・)
貴也とクレアのラブゲーム プロローグ
クレア(なっ!?)
メル(ええっ!!?)
自分たちに宛がわれていた部屋でこっそりと貴也とラムの様子をPsiで覗いていたクレアとメル。
彼女達は今、ラムの問いに対して思った貴也の思考に激しく動揺していた。
まさか貴也がクレアを選ぶなど予想だにしない事態であったから。
クレア(た、貴也・・・、い、いったい何を・・・なぜワタシを・・・)
貴也の想いが信じられずに動揺するクレア。
メル「な・・・な・・・なに・・・」
そんなクレアの隣ではメルが錯乱気味にナ行を呟いている。
どうやら当のクレア本人よりもメルの方が衝撃が大きかったらしい。
クレア「え?ちょっとメル。どうしたのよ?」
メル「な、なにぬ・・・ね、ネ・・・」
メルの異変に気づいたクレアがメルを揺さぶってみても、相変わらずナ行を呟いている。
今、メルの脳裏では貴也とクレアの主演による桃色の妄想が駆け巡っている最中だったから。
クレア「なに?どうしたの?何が言いたいの?」
メル「ネガレイファントルーーーーー!!!」
そして、やっと出てきた言葉はなんと獣機を呼ぶ声。
クレア「え?」
呆気に取られるクレアのすぐ横にある窓の外ではメルの召喚に応じたネガレイファントルが姿を現していた。
そして、正装に着替えたメルが今にも窓を乗りこえようとしていたので、慌てて腕を掴んで引き止める。
クレア「なっ!?ちょっとぉ!なんでいきなり獣機なんて呼んでるのよ!」
メル「決まってるじゃない!アタシのクレアさんを傷物にした貴也を抹殺に」
ポカッ
メルがセリフを言い終わる前にクレアの拳骨が飛び、とても良い音がメルの頭から響いた。
メル「いったーぁ〜〜い・・・」
クレア「傷物になんてなってないし、アナタのものになった覚えもないわよ!!」
メル「う〜・・・」
クレア「まったく・・・早とちりもいいとこだわよ・・・」
頭を抱えてうずくまるメルをジト目で見ながら嘆息するクレア。
メル「うぅ ・・・アタシのクレアさんが・・・クレアさんがぁ・・・」
しかし、メルは頭を抱えながら涙目になっても、まだ何か呟いている。
クレア「いい加減になさい!!べつにワタシは貴也とどうこうなるつもりなんかないわよ」
メル「そうなの?」
うずくまったまま上目使いでクレアの顔をうかがうメル。
その瞳には懐疑的なものが浮かんでいる。
クレア「当然よ」
メル「じゃあ、貴也がもし、まかり間違って告白なんかしてきたりなんかしちゃっても、キッパリ断るのね」
メルはクレアの返事に目をキラキラさせながらすくっと立ち上がり、うれしそうに詰め寄ってくる。
クレア「・・・」
だが、当のクレアは困惑した様子でメルから視線を反らした。
メル「どうしたのクレアさん?」
そんなクレアの態度で、またメルの表情が曇ってくる。
メル「はっ!や、やっぱり・・・。クレアさんも口ではああ言いながらもやっぱり貴也の事を・・・」
ショックを顔に浮かべながらヨロリとよろけるメル。
クレア「違うのよメル。そうじゃないの・・・」
そんなメルにクレアは真剣な表情で話し掛けた。
クレア「もし、貴也がワタシに告白してきたとしても、ワタシはキッパリと断ることは出来ないのよ。
だって、ワタシは貴也の事を好きか嫌いかと聞かれたら、好きな方だし。
貴也の事をどう思っているのかと問われれば、なんとも思っていないとは答えられない。
ワタシだって多少は貴也の事を意識しているのは確かだから・・・。
だから、
’ワタシはそんなことを言われても迷惑よ。ワタシは貴也のことなんて何とも思ってないんだから’
と、言って断ることなんて出来ないのよ・・・」
メル「そうよね・・・。こんな時、嘘がつけないアタシ達の身体って不便よね・・・」
クレアの話を聞いて納得顔で頷くメル。
クレア「だから。貴也には告白前にワタシの事を諦めるように仕向けなければいけないのよ」
メル「そうね・・・。告白されたらこっちは明確に断ることは出来ないんだから変に期待させちゃうわね」
クレア「そうよ!だからメル。こうなったら事情を知っているアナタにも協力してもらうわよ」
メル「うふふ。りょうか〜い!」
こうして、クレアとメルによる
【貴也にクレアさんを諦めさせよう大作戦(メル命名。長
くってそのまんまな上ゴロが悪い)】
が
メル「でも、嘘のつけないアタシたちってすっごく不利じゃない?」
クレア「・・・・・・ともかくやるのよ!」
先行き不安であったが発動することになった。
<つづく>