コンコン
リア「貴也。起きてる?」
小さくノックをし、ひそめた声をかけてからリアとミリは貴也の部屋に入った。
そしてそこで2人が見たものは
リア「ええ!!」
ちょうど貴也の胸の上あたりの位置で丸くなって寝ているミュウの姿だった。
ミリ「うわーー。ミュウ!!なにやってるの!!」
慌ててミュウを貴也からどけるミリ。
ミュウ「ミャア」
不満そうに声をあげるミュウ。きっと貴也の上が温かくて気持ち良かったのだろう。
リア「貴也!平気?」
慌てて貴也の枕元に駆け寄り声をかけるリア。
貴也「う、うぅ・・・」
貴也はうなされていたが、ミュウをどけたおかげか幾分マシにはなったように見えた。
しかし目を覚ます気配は無かった。
ミリ「だめでしょミュウ。貴也は今病気なんだから上に乗っちゃ。ほら、今日はフォル姉ちゃんの所にでも行っといで」
ミリはミュウにそう言い聞かせてから貴也の部屋から追い出した。
ミュウ「ニャア・・・ニャア・・・」
しばらくミュウは部屋の外で鳴いていたがしばらくすると静かになった。
リア「ふぅ・・・とりあえず体温測ってみようか・・・」
貴也の腋に体温計(水銀柱式)をはさんでしばらく待つ2人。
3分後
ミリ「39度丁度だね」
リア「ねぇミリ。それって高すぎるんじゃない。ひょっとして貴也って今すごく危険な状態なんじゃ・・・」
体温計を読んだミリに不安そうに問い掛けるリア。
ミリ「リア姉ちゃん落ち着いてよ。インフルエンザは高熱が出るそうだからこれで普通なんだよ、きっと」
リア「そ、そっか・・・」
ミリ「それより貴也、すごい汗だよ。拭いてあげたほうがいいんじゃない」
リア「そうよね」
リアは貴也の額の汗をぬぐってあげた。
ミリ「これだけ顔に汗かいてるってことは全身にも汗かいてるんじゃないかな?」
リア「そうかも・・・。でもそれじゃあ服を脱がさないと拭けないし・・・」
言いながらリアの顔は真っ赤になってくる。
ミリ「服、脱がせるの・・・」
ミリもその意味が分かり顔を赤くする。
リア&ミリ「・・・」
2人で顔を赤くしながら黙り込んでしまう。
リア「ねぇ、ミリ。それはアタシがするから、ミリは少し部屋から出ててくれるかな・・・」
ミリ「う、うん。分かった」
そう言って部屋を出て行くミリ。
リア「・・・」
リアはしばらくタオルを握り締めたまま貴也を見詰めていたが、やがて
リア「よし!」
と、気合をいれて、貴也の服に手をかけた。
が、
ガチャ
メル「ミリー、体温計貸してー」
そこにメルが体温計を借りに来た。
リア「ひゃあ!!」
驚いたリアは奇声をあげて、貴也の服から慌てて手を放す。
メル「あれ、ミリは?」
リア「ミ、ミリにはちょっと席をはずしてもらってるの・・・」
顔を赤らめ、冷や汗をかき、心臓の鼓動を早めながらリアは答えた。
メル「あっそ。ねぇ、体温計貸してくれる」
リア「え、あ、体温計?あ、あれ、どこやったかな?」
慌てて、辺りを見まわすリア。
メル「そこにあるじゃない」
メルは貴也の枕元にある体温計を指さした。
リア「あ、あはは、ほんとだ。じゃ、はいこれ」
メル「じゃあ、借りてくけど。リアちゃん大丈夫?ちゃんと貴也の看病してあげてよ」
体温計を持ってメルは部屋を出て行った。
リア「ふぅ・・・」
高鳴る胸の鼓動を落ち着かせてから、リアは再び貴也に向き直った。
そして改めて貴也の上着を脱がせた。
ぽっ
ドキドキ
ほてる頬と高鳴る鼓動を抱えつつ、リアは貴也の上半身を拭いた。
そして上着を着替えさせた後にズボンを脱がせ、下半身の拭ける部分だけ拭いた。
そしてここで問題が1つ。
リア「これ、どうしよう・・・」
リアは下半身を拭き終わった時点で下着とその下をどうするか悩んだ。
リア「うーーーん・・・・・・」
熟孝の後、リアは目をつむったままで脱がせて拭くことに決めた。
リア(見ないからごめんね貴也)
こうしてどうにか事を終えたリアの顔は真っ赤になっていた。
そして心臓は早鐘を打っており、なかなかおさまりそうな気配がなかった。
コンコン
ミリ「リア姉ちゃん、もう入ってもいい?」
そこへドアの向こうからミリが声をかけてきた。
リア「い、いいわよ、ミリ」
とりあえず心臓の鼓動だけでも落ち着かせようとしながらリアは応えた。
ガチャ
そしてミリは洗面器を持って部屋に入ってきた。
ミリ「ねぇ、貴也の様子どう?」
リア「うん、今ちょうど着替えさせたところよ」
ミリ「ねぇ、軽く濡らしたタオルを頭に乗せるといいって聞いたから洗面器に水張ってきたけど」
リア「ありがとうミリ。じゃあさっそくやってみましょうか」
リアはタオルを洗面器に浸し、軽く絞って貴也の頭に乗せた。
ミリ「後は薬も飲ませてあげたいけど今は無理だよね」
リア「それは貴也が起きてからにしてあげましょう」
2人はしばらく貴也の様子を眺めていた。
ミリ「ねぇ、リア姉ちゃん」
リア「なに、ミリ?」
ミリ「メル姉ちゃんに聞いたことがもう1つあるんだけど・・・」
リア「どんなこと、教えて」
ミリ「うん・・・あのね、病人は人肌で暖めてあげるのがいいんだって・・・」
ミリはちょっと言いにくそうに言った。
リア「え、それって・・・」
ミリ「うん、多分‘そういうこと’だと思う・・・」
リア&ミリ「・・・」
再び2人で顔を赤くしながら黙り込んでしまう。
リア「アタシ・・・やるわ・・・」
しばらくしてリアが意を決したように呟いた。
ミリ「え!、リア姉ちゃん?」
リア「だって、貴也のためだもの・・・」
そう言ってリアは服のボタンははずし始めた。
ミリ「えっ、ええ!!。リア姉ちゃん本気なの!?ちょっと、やめなよ」
慌ててリアの手を押さえるミリ。
リア「止めないでミリ。アタシ・・・貴也の病気を治すためだったらどんなことだってできるもの・・・」
ミリ「リア姉ちゃん・・・」
ガチャ
クレア「なーに、とち狂ったことしてるのよ」
ドカッ
そこに突然クレアが入ってきて、リアの頭を蹴飛ばした。
リア「あうっ・・・」
頭を蹴られてつんのめるリア。
ミリ「え、クレア?」
リア「ううっ・・・クレア姉さんなにするのよ、ひどいじゃない・・・」
リアは頭を押さえつつ恨めしそうな目でクレアを睨んだ。
クレア「あんたってホントに‘マ’ぬけよね。そんなことまでしなくても安静にしとけば治るわよ」
リア「だ、だって・・・」
蹴られたせいかリアの目は涙目になっていた。
どうやらけっこう痛かったらしい。
クレア「はぁ・・・メルもよけいなこと吹き込んでくれるわね。まったく・・・」
ミリ「ところでクレアは何しに来たの?」
クレア「ん、ジゼルが他の2人の様子を知りたいって言うから見に来たのよ。で、どうなの貴也の具合は?」
貴也「あまりよくはないです・・・」
クレア「え?」
リア「貴也!」
ミリ「あっ、目が覚めたんだ」
いきなり貴也の声がしたので驚く3人。
貴也「おかげさまで・・・」
そう言いながら貴也は布団から身を起こした。
クレア「ま、これだけ騒げば目も覚ますか・・・」
リア「あ、あのね貴也・・・。何時から目が覚めてたの・・・」
さっきの自分の行動を思い出し、顔を赤らめながらリアは尋ねた。
貴也「たった今だけど。どうして?」
リア「ううん。なんでもないの・・・(よかった見られてない)」
安堵するリア。
クレア「で、身体の調子はどう?」
貴也「身体の節々がまだ痛いですね。でも頭痛はましになってますよ」
クレア「熱が下がってきたのかしらね」
ミリ「だったらリア姉ちゃんのおかげだね」
リア「ミリ!」
貴也「えっ?」
ミリ「だってリア姉ちゃんが貴也の身体を拭いたり、着替えさせたりしたからだよ。きっと」
貴也「そうなのマリア?」
リア「う、うん・・・」
恥ずかしそうにうなずくリア。
貴也「ありがとうマリア」
リア「ううん。そんな・・・」
クレア「ま、その様子なら薬を飲んで寝ていれば大丈夫そうね。さっきフォルがおかゆを作っていたから持って来てもらいなさい」
ミリ「それならアタシが取ってくるよ」
リア「そう?じゃあミリお願いね」
クレア「じゃ、ワタシは今度はラオールの様子でも見てくるわね」
クレアとミリは部屋から出て行きリアは貴也と2人っきりになった。
リア「・・・」
なんとなく恥ずかしくて貴也の顔がまともに見れないリア。
貴也「大変だっただろ」
リア「え・・・何が?」
貴也「オレの看病だよ。でも全然覚えてないんだ、ごめんね」
リア「ううん。そんなこと・・・ミリも手伝ってくれたから・・・」
貴也「そうか。じゃ後でミリにもお礼言わなきゃね」
リア「うん、そうしてあげて」
そしてリアは貴也の手を握った。
リア「でも、とっても心配したのよ。貴也がこのまま死んじゃうんじゃないかって・・・」
貴也「大丈夫だよ。マリアは大袈裟だなぁ」
リア「だって・・・。すごい熱が出てたし・・・」
貴也「ふふ・・・、オレはマリアを置いて死んだりしないよ。だから安心していいよ・・・」
そう言って貴也はマリアの頭をなでた。
リア「貴也・・・」
リアは頬を染め、涙を浮かべながらうれしそうに微笑んだ。
貴也「ふふ、マリアは泣き虫だね」
リア「もう、貴也の意地悪・・・」
リアは涙目になりながらも貴也を軽く睨んだ。
ミリ「リア姉ちゃん。ちょっとドア開けて」
そこへドアの向こうからミリの声が響いた。
リア「はーい。ちょっと待って(もう、いい雰囲気だったのに・・・)」
ガチャ
ドアをあけるとそこには土鍋を持ったミリが立っていた。
ミリ「ありがとうリア姉ちゃん。貴也、おかゆ持って来たよ」
貴也「ありがとうミリ」
貴也はミリから土鍋を受け取った。
ミリ「どういたしまして。それとリア姉ちゃん。フォル姉ちゃんがアタシ達の分のお昼も出来てるから食べてだって」
リア「そう。じゃあミリは先に行って食べててくれる」
ミリ「リア姉ちゃんは?」
リア「アタシは貴也におかゆを食べさせる仕事が残ってるから」
貴也「え!?」
ミリ「ふーん、じゃあアタシは先に食べてるね」
そう言ってミリは部屋を出て行った。
貴也「マリア。オレ1人でも食べられるけど・・・」
リア「ダメ!。アタシが食べさせてあげるの」
そう言ってリアは貴也から土鍋を取り上げた。
そしてリアはさじでおかゆをすくい、。
ふーふー
息をかけて少し冷まし、、
リア「はい、貴也。あーんして」
さじを貴也に差し出した。
貴也「・・・ふぅ、分かったよ。あーーん」
貴也は少し迷ったが、おとなしく言う事をきくことにした。
リア「はい」
リアは貴也の口にさじを差し込んだ。
もぐもぐ
リア「どう、おいしい?」
貴也「うん。おいしいよ」
リア「よかった。じゃ、どんどん食べてね」
ふーふー
リア「はい、あーん」
貴也「あーーん」
リアにとって至福の時間はおかゆがなくなるまで続いた。
貴也「ごちそうさまでした」
リア「おそまつさまでした。じゃ、貴也。お薬飲んで」
リアは貴也に薬とコップを差し出した。
貴也「うん」
リア「あ、薬も飲ませてあげようか」
貴也「はは、さすがにそこまでは遠慮しておくよ」
そう言って貴也は薬を飲み干した。
コンコン
フォル「貴也さん、入ってもよろしいでしょうか?」
そこにフォルがやって来た。
貴也「どうぞ」
ガチャ
フォル「貴也さん。お加減はいかがですか?」
貴也「うん、随分と楽にはなってきたよ」
フォル「そうですか。それはなによりです」
貴也「ありがとうフォル。これもマリアとミリのおかげだよ」
リア「そんな・・・」
そう言われて少し頬を赤らめるリア。
フォル「ふふ、よかったですねリア。貴也さんに誉めてもらって」
リア「うん」
フォル「ところでリア。お昼は食べてくれましたか?」
リア「ううん。まだよ」
フォル「じゃあ、食べてきてくださいな。貴也さんはわたしが看ていますから」
リア「う、うん。じゃあ貴也、また後でね」
貴也「うん。また後で」
リアは名残惜しそうにしながらも土鍋を持って部屋を後にした。
フォル「貴也さん。何か欲しいものとかありませんか?」
フォルは貴也の側に腰を降ろしながら聞いてきた。
貴也「ありがとうフォル。でも今はいいよ」
フォル「そうですか・・・」
貴也「ところでラオールくんとジゼルの様子はどうなの?」
フォル「ラオールさんが1番具合が悪かった様ですけど先ほど目を覚まされましたよ。今はお昼を食べていると思います」
貴也「そうか、ラオールくんが・・・」
フォル「そしてジゼルは容態が思ったほどひどくはなかった様で、リリアナとおしゃべりをしていましたよ」
貴也「そうか・・・。でも2人とも大事がなさそうでよかったよ」
フォル「そうですね。さ、貴也さんもそろそろ眠ってくださいな。でないとなかなか治りませんよ」
貴也「分かったよフォル」
貴也は布団に身を横たえた。
フォル「あのー、貴也さん。よろしければ子守唄を歌ってさしあげましょうか・・・」
そして枕元に座ったフォルは躊躇いがちにそう聞いてきた。
貴也「え・・・、いや、大丈夫だよ。ありがとう」
フォル「そうですか・・・。それでは、おやすみなさい」
そう言ったフォルは少し残念そうだった。
貴也「おやすみフォル」
貴也は熱のせいか、それとも薬が効いてきたのかすぐに眠りに落ちていった。
そしてそんあ貴也の髪をフォルは優しくなでてあげていた。
コンコン
リア「フォル姉様、入るわね」
ガチャ
そしてリアが部屋に戻って来た。
リア「あ、貴也眠ったんだ」
フォル「はい。ですからこのまま寝かしておいてあげてくださいな」
リア「はい」
フォル「では、わたしは戻りますから貴也さんのことはお願いしますね」
リア「はい、フォル姉様。まかせてよ」
フォル「ふふ、頼みましたよ」
こうしてフォルは部屋を出て行った。
そしてまたしばらく時がたった。
コンコン
ミリ「リア姉ちゃん、入るよ」
ミリはノックをしてからドア越しに声をかけた。
しかし返事が返ってこない。
ミリ「あれ、いないのかな・・・?」
いぶかしんだミリはドアを開けた。
ガチャ
そこにはベットで眠る貴也とそのベットにもたれる様にして眠るリアの姿があった。
ミリ(あらら、2人共眠っちゃってるよ)
ミリは貴也の枕元に近づいた。
そして貴也の顔色を見る。
ミリ(顔色は悪くないみたい。熱は・・・)
額のタオルをどけて手を当ててみる。
ミリ(うーん、やっぱりまだ熱いかな。熱はまだ下がってないみたい・・・)
ミリは貴也の額に乗っていたタオルを取り替えてあげた。
ミリ(これでよし・・・)
そしてしばらく貴也の寝顔を見詰めていた。
ミリ「・・・・・・」
ミリはなんとなく貴也の頬をつついてみた。
反応なし。
軽くつまんでみる。
反応なし。
軽くひっぱってみた。
あまり伸びなかった。
今度は両頬をひっぱってみる。
変な顔になった。
ミリ「ぷぷっ・・・」
思わずふきだすミリ。
次は鼻をつまんでみた。
さすがに苦しそうな顔をしたのですぐに放した。
ミリ「くくく・・・」
ミリの口から笑みがもれる。
ミリ(次は・・・)
ラム『なーにしてるのかな・・・』
次はどうしようかと考えていたミリに突然声がかけられた。
ミリ「うひゃあ!!」
驚いたミリは奇声をあげながら振り向いた。
ミリ「ラム!!」
そしてそこにはラムが立っていた。
ミリ「どうしてここにいるの?バイトは?」
ラム『お昼のラッシュを過ぎたから少し様子を見に来させてもらったんだよ。そうしたら・・・』
ミリ「あ、あれはただ・・・」
ラム『ただ、なに?貴也にキスでもしようとしてた?』
からかい口調で尋ねるラム。
ミリ「ちがうわよ!!そんなことするわけないじゃない!!」
ミリは真っ赤になって否定した。
ラム『じゃ、なにしてたの?』
ミリ「・・・あんまり貴也が幸せそうに寝てるから、ちょっといたずらしてみただけだもん・・・」
だんだん小声になりながらもミリは弁解した。
ラム『こらこら、ダメだろ病人にいたずらしちゃあ』
ミリ「・・・うん・・・」
リア「んん、なーに。どうしたの・・・」
そこでリアが目を覚ました。
リア「あれ、ラム。どうしてここに?あれ、アタシ今眠ってた?」
リアが寝ぼけながら言った。
ラム『バッチリ眠ってたよ』
リア「やだ・・・」
ラム『そしてその隙にミリが貴也にいたずらしてたんだ』
リア「え・・・」
ミリ「ちょ、ちょっとだけだよ・・・。ちょっとほっぺたいじっただけだもん」
リア「ほんとにそれだけ?」
軽くミリを睨むリア。
ミリ「うう・・・鼻もつまんだけど・・・」
ラム『まあまあ、リアもそんなに目くじら立てない。ミリだってもう反省してるよ。それに寝てたリアも悪いでしょ』
リア「う、うん・・・」
そう言われると何も言えないリアだった。
ラム『で、貴也の容態はどうなの?』
リア「うん、大分良くなってはきてるみたいよ。たぶん・・・」
ミリ「大丈夫だって。このまま寝てれば明日には良くなってるよ。きっと・・・」
ラム『そうかい。それじゃあボクはそろそろバイトに戻るよ。それと、ちゃんと貴也の看病してやってよ。頼んだからね』
そう2人に言い含めてラムは部屋を出て行った。
ミリ「看病してやってって言われても、貴也が寝てると出来ることってそんなにないんだけどな・・・」
リア「そんなことないわよ。ただ様子を見てるだけでも十分看病になってるのよ」
リアは貴也の手を握ってあげた。
ミリ「・・・そうかもね。でも寝てた人に言われても説得力ないけど・・・」
リア「うう、それを言われると・・・」
ミリ「ふふ・・・」
リア「ふふふ・・・」
リアとミリは2人で見詰め合って笑いあった。
実はこのとき貴也の目は覚めていた。
ミリに鼻をつままれた後ぐらいから目は覚めていたのだが、起きあがるタイミングを逸してしまったため起きれなかったのだ。
そして今の貴也はリアの手の温もりを感じつつも寝たふりを続ける他、成す術がなかったのであった。