LalkaStory

ADA

 

帰り際、先進情報技術研究計画局分室の前を通りがかる。

エルフィ
「ステキ――…。」

「ん?」
分室から銀髪の少女が現れる。

エルフィ
「……キレイな‘ADA’。」
「‘人’――の見間違えじゃないのか?」

エルフィ
「――そんことありませんっ。
 だって――…。」

「……‘だって’?」

エルフィ
「あたしと同じ、バニラの――…。
 ――‘たまごみるく’の香りがしたもの。」
エルフィ
「いったい……誰なのかしら?」

「……こんなところには、不釣合いな客だよな。
 ……運転手付き高級車を乗りまわす‘ADA’って――。
 ――いったい何者なんだ?」
車で去って行くADA。

エルフィ
「……またどこかで、逢えるかしら?」

 

三門の研究室。

三門
「おう、よく来たな。」
「いま外で、すごくキレイな娘を乗せた車を見かけたけれど――。」

エルフィ
「――‘ADA’です。」

「そんなこと、どっちでもいいんだよっ。
 ――なあ、誰だか知ってる?」

三門
「そう聞かれてもなぁ――…。
 一緒に見ていれば、誰か分かったかも知れないけれど、ね。」

 

「その、見かけた娘のことだけど――…。 」

三門
「‘車に乗っていたキレイ娘’だけじゃ分からないって――…。 
 ――だって、そうだろう?
‘ADA’はみんな、美人揃いなんだから――…。」
エルフィ
「あ、あの――…。」

「ん?」

エルフィ
「そんなに気になるんですか――。
 ――あの子のこと。」

「――ああ。」
エルフィ
「あ、あの――どうして?」

「君のためだろう?」

エルフィ
「え?――。
 どうして――…。」
「きっとあの娘は――
 ‘エルフィリア’を捜し出す手がかりになる――…。」

エルフィ
「あ――…。」
「キミは、そのタメに、生まれてきたんだろう?」

エルフィ
「――…。
 ――はい。」

三門
「――…。」

 

三門
「………………。
 ……おまえ、さ。
 オレからも、お願いするから――…。
 ――エルフィに、もっとやさしく声をかけてやってくれよ。」

「え?――。」

三門
「もったいないって――…。
 素材がいいんだから、‘自覚’をさせれば――。
 ――もっと美しくなることだって、できるんだからっ。
 それに――…
 せめて、分かってあげろよっ。
 女の子の気持ち――…。
 ……というか、分かってやっているんだよな。
 おまえの場合は――…。」
「そんなこと――…。
 ……仕方がないじゃないか。」
エルフィ
「いいんです、あたし――…。
 あたしだって、困りますっ。
 ……期待してしまうもの。」
「何だよ、急に。
 ‘ADAに恋するなんて、おかしなヤツだ――’って、
 おまえ、オレに言ってなかったか?」

三門
「んぅ――…。」

 

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