LalkaStory
久しぶりに、先進情報技術研究計画局分室の 自分の研究室に行くことにする。 「それでは、行ってみますか――…。 ――アッパーネットの亡霊たちに とり憑つかれている屋敷へ!」 |
「……オレだって、薄々は気づいていたさ。 あの物々しい警備体制が、ただものではないことぐらい――…。 ――あの建物が、軍事施設であることぐらいは、ね。」 |
研究室に入る羽野。 「……いまとなっては、懐かしい場所だな――…。」 |
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三門の研究室。 孵化室に入る羽野とエルフィ。 エルフィ 「わあ――…。」 「――あらっ?」 |
三門と、この間見かけたADAが孵化室でキスをしている。 「な。」 「まあ――…」 |
「あ。」 「あ――…。」 エルフィ 「わ。三門さんったら――…」 「――ごめん。後でまた来る。」 |
「……もう、大丈夫かな?」 |
三門の研究室。 「や、やあ――…。 ……先程は、遺憾ながら誠に失礼して――。」 三門 「――おい。何おマヌケな挨拶をしているんだ?」 |
三門 「改めて、紹介するよ――…。 ――‘ADA’エリィスだ。」 エリィス 「初めまして――…。 おウワサは、三門先生から伺ってます。」 |
エリィス 「何でも――。 ――ご自身がデザインしたパーソナリティを 愛していたとか――…。 「……‘いた’じゃなくて‘いる’だけど、ね。」 エリィス 「あらあら、羨ましい――…。」 |
エリィス 「………………。」 エルフィ 「あの……あたしに、何か?」 エリィス 「あなたはキライ――…。」 エルフィ 「え。」 エリィス 「‘ADA’だからといって――。 ――‘人’におもねる必要は、ないと思うけれど――…。 エルフィ 「あたしは、別に――…。」 エリィス 「――そこもキライ。」 エルフィ 「そんな――…。」 |
「この娘は、お前のプライベートの‘ADA’なのか?」 三門 「――いいや。‘ここ’の上からの預かりモノさ。 エンジェリックメモリデバイスを渡されて――。 ――‘孵化’を命ぜられたというワケ。」 「……ふぅん。」 |
「キミのマスターは、誰なんだ?」 エリィス 「――わたしには、マスターなんていません。 だって、必要ないもの――…。」 |
「(独白)……‘ここ’が、後ろ盾になっているのか? ということは、あるいは……」 |
「キミは……サイバーアイドルではないんだね?」 エリィス 「……サイバーアイドル? わたしの知らないこと――…。」 |
エリィス 「――わたし、やってみたいわ。」 「キミだったら、すぐに人気が出ると思うよ。」 三門 「――エリィス! 止めておいた方がいい――…。」 エリィス 「――あら、どうして? わたしは、常に新しい情報を求めているの。 それが――‘わたし’なんだもの。 それに――…。 三門先生には、わたしの行動を抑制させる権限はないわ。 ……そうでしょう? さっきのベーゼ・み・た・い・に――…。」 |
三門の研究室を後にする羽野とエルフィ。 エリィス 「うふふ……わたしたち、いつか きっとまた会えるわ。 ネットワークの世界は、とても広大だけれど――。 ――無限に広いワケではないんだもの。」 |
「エリィスが、‘ここ’の上からの預かり物ならば――。 ――何か知っているかもしれないな。」 |
「あの娘がライブに顔を出すなら、いずれ遭遇する。 その時は――頼んだぞ、エルフィ。」 エルフィ 「はい――…。」 「かならず――…。しっぽをつかんでやる。」 |