LalkaStory

マスター

 

教会を通りかかると、
子供たちの遊ぶ声が聞こえる。

「あれは――…。」

以前、ネットで見かけたレディベルタイプをみつける。
羽野に気づくレディベル。

レディベル
「ふふ……日頃の行いを悔い改めるタメにでも、おいでになったの?」
「……オレが? なぜそう思う?
‘ADA’を連れ歩いているというだけで――。」

レディベル
「――理由は、十分でしょう?
 いつでも、バトルライブを仕掛けられるように――。
 ――‘ADA’を‘コイン’代わりに連れ歩いてるんだもの。」

 

「じゃあ、キミのマスターはどうなんだ?」

レディベル
「神父さまは――…。
 ――マスターは、あたしがあんなことを
 していることさえご存知ないわ。」

「どうゆうことだ――それは?」

レディベル
「バトルライブは、あたしが勝手にやっているってこと――…。」
「……そんなこと。どうして――?」

レディベル
「――‘どうして’?
 どうして――あなたの方こそ、そんなことを知りたがるの?」
「‘理由’――があるのなら、
 ライブサイトで見かけても、バトルを仕掛けないでやってもいい。」

レディベル
「え。
 くすくすくす――…。
 ――アハハハハハッ。
 そうかぁ――…。
 ……あたしに勝つ自信があるってことよね?
 気を使っていたただいて、うれしいな。」
「――だったら、そうして。
 邪魔は、しないで――…。
 親のいないこの子たちを――。
 ――神父さまを、教会をあたしは守りたいんだから!」
「……レディベル?」

レディベル
「この子たちの食費に、教会の維持――。
 ――毎日、毎月、どれぐらいのお金が
 必要か、神父さまはご存知ないわ。
 神父さまのお心は、ご奉仕なさることばかりなんだもの。
 すべての切り盛りは、奥さまがなさっていたのだけれど――。
 ――お身体をこわされて、お亡くなりになって――…。
 だから――あたしは、ここにいるの。
 ここから巣立ったみんなの善意から、あたしは孵ったのよ。 
 こことみんなを、守るタメに――…。」

「……レディベル。」
「キミは――いい娘だね。」

レディベル
「え。」

「……がんばっているんだね。
 キミは――神父さまの娘として、
 がんばっているんだろう?」

レディベル
「……そんなこと、ない。」
レディベル
「あたしは――あたしを孵してくれた恩を返すタメに
 がんばっているの。
 ――だから、負けられない。
 あなたにも――…。」

 

「キミは、いったい誰に創られたんだ?
 キミのようなパーソナリティをデザインできるなんて――…。
 ――よければ、デザイナーを教えてくれないか?」

レディベル
「もう、いません――…。
 ……あたしを創ってくれたのは、奥さまだもの。」

「そうか――…。」
「……悔しいな。
 キミは、本当によくできた娘だよ。」

レディベル
「ふふ……ありがとう――…。」

「――だから、バトルを仕掛けるかも知れない。
 パーソナリティデザイナーの誇りを賭けて――…。」

レディベル
「……はい。」
レディベル
「でも、あたし負けませんから――…。」

エルフィ
「……あたしも、負けられません。」

レディベル
「はい――…。」

 

レディベル
「ふふ……楽しみですね。
 ――じゃあ、あたし失礼します。」
レディベル
「……‘いつか’は、いつでも、いつまでも来ないものだけれど――…。 
 今回の‘いつか’は、すぐにでもやって来そうな気がします。
 でも――仕方がありませんよね?
 お互いに、サイバーアイドルでいることを止めにできないのだもの。」

 

(調整中)
レディベルの強さの秘密は、‘マスターへの想い’そのものだ。
‘エージェント’は、マスターの好みに合わせて情報を検索する。
そして‘心’を持った‘パーソナリティ’は、
それ自体がマスターの好みに合わせて変化するんだ。
レディベルのマスターは、人に奉仕する神父だ。
だからレディベルも‘奉仕するADA’に育った。
そしてレディベルは、教会に、神父に、
そして子供たちに奉仕したいと願った。
だからバトルライブでも、決して負けられなかったんだ。
神父の心が、レディベルのパーソナリティに力を与えた。
マスターの資質が、パーソナリティを強くしている。
それが本当のマスターの資質なのかもしれない。
(調整中)

「オレは……オレのエルフィは、レディベルに勝てるのか?」

エルフィ
「私、負けません。」

エルフィ
「どうか私に、あの娘とバトルライブをさせてください。
 私、きっとがんばりますからっ。」

 

水族館、ネットに接続するエルフィ。

エルフィ
「あ――…。」

「いた。レディベルタイプだ――…。」
「いくよ、エルフィ。」

エルフィ
「はい。わたし、がんばりますっ――…。」
バトルライブ・レディベルタイプ
エルフィ
「――ライブは成功しました!」

レディベル
「……あたしの負けですね。」

レディベルのデバイスを手に入れた。
「よくやった。よかったよ、エルフィ。」

エルフィ
「はい――。」

 

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